この詩は灰皿代わりのビールの空き缶
ケーキのチョコ こびりついた紙皿
萎nでくたっとした赤い風船
続きの気になる 夏の夜の夢
ぼんやりと差し込む日差しで
月曜の昼下がりに目を覚まして
涼しむためにぶらりとライブラリに
立ち寄り立ち読み文字が素通り
たき火の香り染み付いた上着
花火の残像残るまぶた裏に
のこった深酒 脈打つこめかみ
静かな木漏れ日 隙間を照らし
ヒーローごっこキッズが走ってる
歴史刻んだ顔に傷が走ってる
仮面ライダー歌った遠い記憶
森の奥への「よーいどん!」をもう一度
脱ぎ捨てた靴下が床で雑魚寝
しけたポテトチップス、ふやけた輪郭
たまたま見上げた、路地裏の星占い
ぼやけた空、流れない雲の落としぶた
責任者不在どっかで鳴ってた呼び鈴が
一言も言わず、人ごとの俺だけがそこに居た
電池の切れかかったランタン
気が抜けて残ったボトルのシャンパン
窓の外を流れる風景
淀みない子守唄
つけっぱのテレビから生中継
ホワイトノイズ
住所を書き間違え 埃かぶった封筒
枕代わり半分に折り畳んだ座布団
溶けた氷薄まった水割りの水割り
秒針の足音しずかに、畳にすり足
振り出しに戻るまでの60のステップ
食べた皿を洗い、今日もゴミを捨てる
雨で道が見違えるように光ってる
何もない部屋に布団と冷蔵庫
この詩は灰皿代わりのビールの空き缶
ケーキのチョコこびりついた紙皿
萎んでくたっとした赤い風船
続きの気になる 夏の夜の夢
汗だくで布団が水たまりに
鈴虫に囲まれてた気づかないうちに
一斉に鳴き始めた小さな大合唱
心が畳の隙間に染みてなくなりそうだ
誓いを立てたあの日から早や数年
ピカピカだったライターも今やガス欠で
火はつかなくとも、落ち着く触り心地
それも駅のホームに置き忘れてそれきり
何文字か消えたままのネオンの名前
財布からはみ出る溜まったレシートの束
それはまるでハンバーガーのしなびたレタスみたく
フレッシュさを失った消耗の記録
夕方、暗い方にのびる細長い姿
電柱にしがみついたままの蝉の抜け殻
生暖かい空気をかき分け歩く公園
境目がぼやける 夏の夜の夢
窓の外を流れる風景
淀みない子守唄
つけっぱのテレビから生中継
ホワイトノイズ